
イワシは身が柔らかく、包丁を入れる角度ひとつで身割れしてしまう魚です。 「三枚おろしは難しそう…」と感じている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、家庭のキッチンでも再現できる、“ちょっと変わったイワシの捌き方” を紹介します。 一般的な三枚おろしとは少し違いますが、慣れると 身が崩れにくく、仕上がりが綺麗になる のが特徴です。
写真と図解で手順を丁寧に解説しているので、初めての方でも安心して挑戦できます。 「いつもの捌き方がうまくいかない」「もっと簡単に綺麗に捌きたい」という方にこそ試してほしい方法です。
| 材料費 中羽10匹 (約60g×10匹) (600g) | イワシ600円~ |
| 調理時間 | 40分~ |
| 備考 | 「本卸し+大名卸し+手開き」のいいとこどり?? |
調理時間(40分)
①イワシを軽く水洗いし、包丁の切っ先で鱗を取るがその際、皮膚を傷めてしまうようなら指先を使い爪で取る。
②氷水で冷やしながら連続して捌いていく。
③頭を落とし、肛門から腹にかけて斜めのラインに包丁を片身だけ入れ、内臓、腹膜、血ワタをかき出し、もう半身を切り落として取り除く。

④腹を指、骨抜きの柄の部分等を使って流と共にかきだし洗浄する。
⑤キッチンペーパーにくるんで水気を吸わせる。

⑥キッチンペーパーを開き、イワシの腹側から包丁の刃を背骨に届くギリギリ当たりまで切り込み、裏返して背側も同様に切りこむ。

⑦尾の根元に背骨が当たるまで包丁の刃を入れ、頭に向かって×印の肛門辺りまで背骨の上を滑らせるように切入れる。
⑧包丁で、下側の身を押さえ、上の身をつまんで頭に向けてゆっくりと裂いていく。
⑨裏返して、同様に骨と身を分ける。

⑩おろされた身の、腹骨、残っているようなら背びれ周りの骨(担鰭骨)を包丁ですくい取る。小骨が身に残っている場合は骨取りで取り除くが、結構な作業なので、骨に対して斜めに包丁の刃を入れたり、切り身にするとき、尾から斜めに薄く削ぎ切りするなどの工夫で対処する。

⑪ボールに、水500㎖を入れ、塩15g、酢60㎖入れて身を軽く洗い、水気をキッチンペーパー等で取り除く。
⑫加熱で食すなら特にしなくても良いが、刺身で食べる時は、背側の片口から皮をはぎ取る。
⑬イワシの上身の完成です。

自分はやった事は有りませんが、この捌き方は、腹骨が複雑に入っている「スズキ」や「マダラ」にも有効なようです。
私が初めてイワシを捌いた時、
「手開きなんて誰でもできる」という風潮の中で挑んだものの、
身はぐずぐずに崩れ、骨を引くと身まで付いてきてしまった。
大衆魚のくせに、なぜこんなに難しいのか。
その疑問は、後になって“科学的な理由”があると分かった。
イワシはアジやサバに比べて筋肉が非常に柔らかく、 筋繊維をつなぐ ミオシン や コラーゲン が弱い。 そのため、以下の条件が重なると一気に崩れやすくなる。
イワシは水分を吸いやすく、洗いすぎると筋肉がふやける。 表面のタンパク質が膨張し、筋繊維の結着が弱くなるため、
- 手開きで裂くと身がちぎれる
- 骨を引くと身が付いてくる
- 表面がボロボロになる
という現象が起きる。
夏場の水道水は 25〜30℃ になることがある。 魚の筋肉は 20℃を超えると急激に柔らかくなる ため、
- 包丁を入れると割れる
- 手で裂くと繊維が崩れる
- 骨を引くと身が付いてくる
という、まさに初心者泣かせの状態になる。特に、前述した水焼けと重なると目も当てられない事になります。
鮮度が落ちると筋肉の pH が変化し、 ミオシンが溶けていくため、骨と身の境界が曖昧になる。
その結果:
- 手開きで身がボロボロ
- 骨を引くと身が付いてくる
という現象が起きる。
イワシは大衆魚だが、筋肉は非常に繊細で、 水温・水分・鮮度の影響を強く受ける。
だからこそ、 初心者が最初にイワシで挫折するのはむしろ当然 で、 初めての魚捌きがアジであることが多いのは、 アジの筋肉がしっかりしていて扱いやすいからだ。
私自身、最初は身を崩してしまったが、 年に50匹ほど捌くようになり、 累計150〜250匹ほど触ってきた今なら分かる。
イワシは“簡単な魚”ではなく、 条件が揃った時だけ“簡単に見える魚”なのです。


