販路を失った養殖マダイ?

~2023年・8月24日、中国が日本水産物の一時輸入禁止になった影響か?~

シラタ?個体(向かって左)と餌食い個体(向かって右)
養殖マダイの購入

2023年9月24日、スーパーの鮮魚売り場で店員さんに養殖マダイを勧められました。
実際に捌いて、柵にした刺身用の状態を見せられ、「どうですこれ?いい状態でしょ?」と、なかなか良さそうな状態でした。お値段も約1000円/キロとこの辺りでは底値。
中国と日本の関係が悪化したせいで販路を無くした養殖マダイが流れてきたのではと説明され、なるほどそれでこの値段かと納得。

さらに、店員さんは「野締めではあるが神経締めで(何か表現が変ですね)
これはお値打ちですよ」と、勧められ、約600gの個体を2匹購入。

捌いてみたら・・・

家に帰って捌いてみると、二匹とも鮮度が悪いのか、氷水に長時間漬かっていたのか、エラの色が灰色でした。解体すると内臓脂肪があるのですが、身が白く透明感が無い。ひょっとして、栄養状態が悪く、身を溶かした「しらた」ではないのか?
二匹目は、腹パンで開けば胃の内容物が腐敗している様子。。。
刺身でも食べられると勧められましたが酒蒸しで食べました。
味はどちらの個体も普通ですが、なんだかタイ固有の臭いがきつい感じでした。

餌食いの個体個体
シラタ?の個体
どうにも、疑問・・・

店員さんに勧められた捌かれた刺身用の柵は確かにいい状態でした。しかし、「しらた」に「餌食い」それに「灰色のエラ」それに、養殖マダイって1kg~2kgの個体で出荷するものでは?・・・この鯛、なんか怪しくないか・・・

ネットで調べるも納得のいく答えが見つからず、以前から鮮魚関係の情報を得ていた鮮魚のプロにメールでお尋ねしました。

問い合わせ先は、さかなのさ  〜魚美味探求 リッキーさんこと うおみしゅんさんです。

質問メール(一部抜粋)

①養殖マダイを600g程度で出荷してしまうものなのか?
②養殖でありながら「しらた?」の個体が発生していしまうものなのか?
③養殖でありながら、腹パン飽食状態で出荷されてしまうものなのか?
④神経締めとは言うが、尾びれを切って貫通はしていなかった。活〆で血抜きしてしていない個体に中途半端な神経締め(やってない可能性が高い?)を施して出荷するものなのか?
⑤エラが灰色の鮮度が怪しい(鮮度は良くとも、氷水に長期保存するとエラが灰色になるらしいですが)
状態の個体を養殖業者は流通させるものなのか?
以上、ご意見を頂きたいと思います。

回答メール(一部抜粋)

いつもご購読ありがとうございます。ご質問ありがとうございます。

とりあえず感じたことを販売者の立場にたって説明させていただきたいと思います。

今回の養殖ダイは確かにかなりお安いとは思います。

個々のご質問にお答えします。

①600gでも水揚げはすることはよくあり得ます。
②養殖ではあまりシラタはみませんが全くないわけではないと思います。栄養不足の個体もいると思います。
③養殖ダイの腹パンは大抵空気だったりします。脂が多いのが気になったりします。養殖業者は出荷前にエサの調整すると思いますがそこそこ胃袋がエサで大きいときもあるように思います。
④ おしゃるように野締めはあくまで野締めです。野締めの神経締めってよくわからないです。
⑤鮮度がよいのに灰色になることはないと思います。エラが灰色は理由はどうであれ鮮度落ちていると判断します。
養殖業者が鮮度よくないものを出すかどうかは何とも言えません。基本ないと思ってますがその間にいくつかの業者が介在している点も考えないといけません。
養殖中に死んでしまう個体があるのも事実でそういうのが流通することもあります(底物、浮物)。 今回のはそれとは違うと思いますが野締めの養殖ダイという時点で通常の流通と違うように思います。

酒蒸して食べたのは正解だったとおもいます。

スーパーの担当者もどんなものかよくわかってないのかもしれません。
せめて切身にしてだすべき個体だと思います。

魚の話だけに目からウロコ!

早速の回答に感激しつつ、内容を見て驚きました。まず、

①養殖マダイは主に1~2kgの出荷が多いだけで、600gの出荷は不自然ではない。

②、③養殖でも、栄養不足の個体や、胃の内容物が未消化の個体の出荷はあり得る。

④野締めで神経締めなんてない。

⑤エラの色が灰色は鮮度が落ちている。

と、疑問が全て晴れました。重ね重ね、さかなのさ  〜魚美味探求 リッキーさんこと うおみしゅんさんに感謝いたします!!

いやいや、よく見ると恐ろしい事が書かれてるではないか!浮物?!沈物?!

普通なら、前項で話は終わるところなのですが、回答メールに「底物・浮物と養殖中に生簀で死んだ個体が流通することもある」などと、消費者として聞くに堪えない情報が書いてあるではあります。おだやかではありませんよね・・・

それと、通常の流通ではないと指摘されたことにより、スーパーの店員さんが言っていた、中国の海産物輸入禁止で販路を失ったタイである可能性が高いです。

ちょうどその頃、YouTube 「きまぐれクック」にて養殖いけすの浮物ではありませんが、鮮魚店のいけすの浮物らしき個体をあえて購入し調理している動画がアップされました。

動画内でかねこさんは、「こういう魚、売った人は家族など自分の大切な人に食べさせられますか?」と苦言を呈しており、全くその通りだよと思いました。参考資料として掲載させていただきます。

3:29 鮮度落ちの「シマセトダイ」5:47 調理開始 25:53 実食