(検証) マダイの熟成は“伸びしろゼロ”? 塩麹・塩熟成を試した結果と科学的根拠

高濃度塩水漬けのマダイ高濃度塩水(20%)で漬ける

塩麴による発酵は2日が限界で美味さは5割増し程度までは変化すると前の検証で分かりましたが、その後もずっと手軽に熟成ができないものかと探していました。
そんなある日、YouTubeでこんな動画を見つけました。

けんた食堂のお刺身アンチョビという動画ですが、あの腐りやすいイワシが2週間も新鮮なままで刺身で食べるとは!
この方法で、鯛の刺身のさくを熟成したらどうなるだろうか?やってみました。

おススメ度★★☆☆☆
備考微妙。タイパの悪い生ハム
材料費(1人分)950円~
調理時間5分~
待機時間2週間

材料表

  • 鯛の塩水熟成刺身 (2人分)
  • 刺身用鯛切り身(200g) 900円~
  • 高濃度塩水
  • 塩 125g 13円~
  • 水 500ml
  • 低濃度塩水
  • 塩 15.5g 2円~
  • 水 500ml

高濃度塩水(20%)を作る

調理時間(5分) 

①鍋に塩125gをいれ水500mlを入れ中火にかけゴムベラでかき回しながら塩を溶かしきる。
②粗熱をとったらペットボトルなどの容器に移し冷蔵庫に入れ必要時まで待機。

20%食塩水についての補足
20%冷食塩水はその場で作ろうとしてもなかなか塩が溶けません。前述のように熱湯で溶かすのが近道ですが、使用時には冷えていなければいけません。あらかじめ上記要領で溶かしてペットボトルに入れて冷蔵庫で冷やしつつ使用時まで待ちましょう。
因みに、20%の食塩水は1000mlの水に対して200gの塩の量ではありません。

塩分濃度(%)=
塩の重さ(g)/塩水の重さ(g)+塩の重さ(g)

∴ 塩の重さ(g)=
塩水の重さ(g)×塩分濃度(%)/(100-塩分濃度(%))

例1:塩分濃度20(%)水50mlなら塩の量 12.50g
例2:塩分濃度20(%)水100mlなら塩の量25.00g
例3:塩分濃度20(%)水1000mlなら塩の量 250.00g(← 200gではないですね

鯛の身を高濃度塩水に漬けこむ

調理時間(3分)

待機時間(1週間)

①鯛の身をジップ袋に入れ高濃度塩水を加え、空気を抜いてジップし冷蔵庫に入れ一週間待機する。

※ところでこの鯛の刺身、皮を引く時に失敗したようで血合い部分がごっそり無くなっているのですが、よくこんなもん売るな~って
百歩譲って割引しろよとか思いました。

一週間後、腐ってなかったのは良いとして、タイの身は反り返りゴムのような弾力になっていました。

低濃度塩水を作り(3%)漬け込む

調理時間(5分) 

待機時間(1週間) 

①鍋に塩15.5gをいれ水500mlを入れ中火にかけゴムベラでかき回しながら塩を溶かしきる。
②鯛の身をジップ袋に入れ低濃度塩水を加え、空気を抜いてジップし冷蔵庫に入れ一週間待機する。

一週間後、腐ってはいなかったが、表面はもちっとして柔らかめで中は芯があるように固い、謎の触感に仕上がっていました。試しに一口食べてみましたが、漬物のような塩辛さとねっとりとした肉の食感。臭みはないものの、後味の余韻に旨味はない。
この後、削ぎ切りにしてひまわり油に漬けこむ予定でしたが、急遽カルパッチョにして早めに食べて終わりたくなりました。

カルパッチョにする

調理時間(5分) 

待機時間(2時間) 

①鯛の身をそぎ切りにして、皿に反時計回りに盛り付けていく。
②レモン汁、胡椒を軽く表面にまぶし、オリーブオイルを鯛の表面に軽く纏わせる量をふりかけ、上にラップをかけて、重しになる皿などを載せて冷蔵庫で冷やす。

完成

評価

そぎ切りにして皿に盛り付けるも、切りにくい身質な為、厚さが不均等。レモン汁をかけ、黒コショウを振り、オリーブオイルをかけてラップを被せて皿を重しにして簡易的にカルパッチョにしてみました。
冷蔵庫で保存する事1時間。お味は・・・
レモンとオリーブオイルの風味がなぜだか鯛の塩味を際立たせ、美味しいというよりは味の確認で舌と脳がフル回転する妙な展開。後味はすっきりしているも、悪く言えば期待していた熟成鯛の美味みとやらは微塵も感じることは無い。一番近いものに例えるなら「イマイチな生ハム」です。
鯛の熟成で引き出せる美味さはこんなものなのか?
2週間の冷蔵保存で腐らない保存法を知った経験を貰っただけでも良しとするか・・・
でも、なぜこうなったのか?理由を知りたい。AIに尋ねてみたら、こちらの思い違いがかなりあったようです。

なぜ、スーパーのマダイの刺身の柵は熟成に不向きなのか?

① スーパーのマダイは“すでに熟成済み”

●魚は死後、ATP分解により旨味(イノシン酸)が増える

●しかしスーパーに並ぶまでに 数時間〜半日 経過

●つまり 家庭での熟成は“二周目”に入る → 旨味は伸びず、腐敗菌だけが増える

② マダイは熟成で伸びにくい魚

●イノシン酸の生成量が少ない

●自己消化酵素の働きが弱い

●身質が硬く、変化が出にくい→ 「熟成向きの魚」ではない

③ 塩麹は“塩分が入りすぎる”のが最大の欠点

●麹の酵素でタンパク質は分解される

●しかし同時に 塩が強く入りすぎる

●旨味より塩味が勝つ→ 「塩辛いだけの魚」になりやすい

④ 塩熟成は“2日が限界”

●表面の水分が抜けて旨味は濃縮

●しかし3日目以降は 酸化臭・生臭さが増える→ 旨味のピークは短い

結論

スーパーのマダイ刺身は熟成しても美味しくならない。 理由は「すでに熟成済み」「マダイ自体が伸びない」「塩麹・塩熟成は塩辛くなる」ため。

家庭でできる最適解は、 “買ってきたその日に食べる” これに尽きる。

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