サンマ料理5連敗、なぜ塩焼きは最強なのか

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序章
サンマの塩焼きをたべながらおもいます。長年にわたり塩焼きが最適解であるかのように語られてきた。だが、それほどまでに完成された料理なのだろうか。塩焼きを超えるレシピを求めて、さまざまな料理を試作してみた。

サンマの塩焼きを超える事は出来たのか?

サンマの塩焼きは長年最適解であるかのように親しまれてきた。だが、本当にそれ以上の食べ方は存在しないのだろうか。そう思い立ち、

●サンマのアヒージョ風
●サンマのガレット巻き
●サンマのカボス丼
●サンマのトマト煮込み
●サンマの柑橘締め

の5品を試作してみた。

結論から言うと、結果は惨敗だった。

敗因理由

●サンマのアヒージョ風
※炊飯器で優しく火を通そうとしたのが悪かったのか、中途半端に火が入ったことで生臭さが強調された。

●サンマのガレット巻き
※食感が硬すぎて咬み切るのも大変だった。

●サンマのカボス丼
※熟したカボスを使ったせいか、ご飯が甘酸っぱくなりサンマとの相性が最悪になりました。

●サンマのトマト煮込み
※サンマの存在感が全く無し。ただのトマト煮込みです。

●サンマの柑橘締め
※〆サバを参考に柑橘類で〆ても、生臭さが抑えられることはなく、普通負の刺身に負けている。

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材料表・共通

  • サンマの切り身(2人前)
  • サンマ3匹(約120g×3) 600円~
  • 下処理用
  • 水 1000ml
  • 下処理用 塩 30g3円~
  • 下処理用 酢 大さじ2 20円~

サンマを捌く

調理時間(30分) 

①サンマを軽く水洗いし、一見水揚げの際にすべて鱗が落ちてしまっているようにみえるが、包丁の切っ先で鱗を取る。特に背中側に残っている事が多い。
②氷水で冷やしながら下処理し、終わったらキッチンペーパーで水気を取る。
③腹びれを骨ぬき、もしくは包丁ヒレを抑えて身を引っ張り引き抜く。

④頭の背中側から腹まで胸鰭を斜めに避けながら浅く包丁を入れ、(内臓を傷つけないように)背骨を断ち切る。
⑤身を裏返し反対側にも同様に包丁を入れる。
⑥肛門に対して斜めに包丁を入れて、肛門につながる内臓を断ち切る。
⑦頭と胴体をゆっくりと外し、頭についてきた内臓を取り除く。
⑧胴体部分は肛門から逆包丁で切り開き、残った内臓、腹膜を取り除く。
⑨切開いた腹を水で洗いながら血合いをかきだし洗浄する。
⑩キッチンペーパーで水けをよくふき取る。

⑪包丁を尾側に背骨に当たるまで垂直に切り込み、そこから包丁の向きを水平に変え頭側に向かって背骨に沿いながら切っていく。(大名おろし)
⑫おろした身の皮側を上に、頭側を手前にし肛門から頭に向けて包丁を浅く切り込みを入れる(包丁の刃が腹骨に当たるので、それ以上深く刃を入れない事)
⑬包丁で腹側を押さえ、尾の方から裂いていくと、腹骨をすく事なく取り除かれる。

下処理から完成まで

⑭血合い骨を骨抜きで抜く時は、通常頭の方向に抜くのを尾の向き側で抜くと身が裂けつつも、次の骨が現われ連続作業で血合い骨を取り除くことができる。
⑯ボールに1ℓ程の3%冷食塩水と酢を二回しほど入れた中に入れて洗い、生臭みや汚れを洗い落とし、キッチンペーパーで水気を拭き取る。

1.サンマのアヒージョ風

材料表

  • サンマのアヒージョ風(2人前)
  • サンマ3匹(約120g×3) 600円~
  • 冷凍ブロッコリー 100g 50円~
  • ジャガイモ 180g 116円~
  • プチトマト 100g 100円~
  • ぶなしめじ 100g 100円~
  • ヒラタケ 100g 100円~
  • オリーブオイル200ml 300円~
  • 塩 小さじ1 (5g) 5円~
  • 乾燥ニンニクスライス5g 55円~
  • 下処理用
  • 水 1000ml
  • 下処理用 塩 30g3円~
  • 下処理用 酢 大さじ2 20円~

材料の仕込み

調理時間(15分~) 

待機時間(1時間23分~) 

①冷凍ブロッコリーと二等分したしたプチトマトに塩を二振りし、耐熱容器に入れて、あらかじめ100℃に予熱したオーブンに30分入れて、水分を飛ばす。容器下に水が溜まっているようなら、斜めにして流れ出した水気をキッチンペーパーに吸わせる。
②ぶなしめじも同様に塩を二振りし、耐熱容器に移してあらかじめ100℃に予熱したオーブンに30分入れて、水分を飛ばす。容器下に水が溜まっているようなら、ザルに移して水気を切る。
③ジャガイモは皮をそぎ、厚さ1㎝、一口サイズに切り分け軽く水洗いし、ザルで水気を切り、ジップ袋にいれ電子レンジで600w3分加熱する。加熱後も予熱で20分程火を通す。

火入れから完成まで

調理時間(10分~) 

待機時間(1時間~) 

①サンマは三等分に切り分け、材料全体に塩小さじ1と乾燥スライスニンニク5gを加えて混ぜ合わせ、ジップ袋にオリーブオイル100mlと共に入れ、空気を追い出して、材料全体がオリーブオイルに浸されている状態にする。
②炊飯器に沸騰したお湯を入れ材料を入れたジップ袋を入れ、炊飯器を保温にする。
③1時間後、袋を取り出し、食材を売上に盛り付けて完成。

完成

サンマの身は生臭く、ジャガイモにも十分に火が通っておらず、とても人に出せる出来ではありませんでした。さらに大量の油が重く、食後は胃もたれする始末です。

サンマの下処理を丁寧に行い、ジャガイモにも確実に火を通したうえで、オイルを飲み干さないようにすれば、もう少しまともな料理になったのかもしれません。

そもそもアヒージョは100~130℃程度の温度で具材を加熱する料理であり、コンフィは70℃前後の低温で食材が硬くならないよう火を通す調理法です。

今回はアヒージョのように具材を多く加えながら、コンフィのような低温調理を目指した結果、中途半端な仕上がりになってしまいました。

特にサンマのような青魚は生臭さとの戦いになるため、アヒージョとコンフィの要素を組み合わせて新しい料理を作るのは、思っていた以上に難しいと感じました。

2.サンマのガレット巻き

材料表

  • サンマのジャガイモのガレット包み焼(2人前)
  • サンマ3匹(約120g×3) 600円~
  • ジャガイモ中 3個 150g 180円~
  • 片栗粉 小さじ1
  • 玉ねぎ 中1個 90円~
  • 下処理用
  • 塩 20g 2円~
  • 砂糖 20g 6円~

材料の仕込み~完成まで

調理時間(15分~) 

待機時間(1時間23分~) 

①玉ねぎをスライスし、ミキサーにかけ、フライパンで中火で水分を飛ばしながら炒めていく。
②焦げ付きそうな水分量になったら火を弱火にし、パサパサになるまで炒めてソフリットにし、容器に入れて使用時まで冷蔵庫内で養生。

③ジャガイモの皮を剥いて、スライサーで千切りにし、ボールに入れ、片栗粉を加えて混ぜ合わせる。
④グリルパンの上にクッキングシートを敷き、ジャガイモを厚さ5㎜程に敷き、あらかじめ180度に予熱しておいた、オーブンの中に15分入れて焼き上げる

⑤焼き上げたシート状のジャガイモを広げ、サンマを置き、ソフリットを乗せてその上にサンマの身を置きサンドイッチ状態にする。
⑥あらかじめ、180度に予熱したオーブンの中に15分入れて焼き上げる。
⑦焼きあがったガレットをひと口大に切り分けて盛り付けて完成。

⑦焼きあがったガレットをひと口大に切り分けて盛り付けて完成。

完成

ジャガイモのガレットは硬く、噛み切るのが難しい。片栗粉小さじ1杯が余計だったのだろうか。あるいはオーブン焼きではなく、フライパンで揚げ焼きにするべきだったのかもしれない。

サンマの生臭さはある程度抑えられているものの、玉ねぎのソフリットの甘味との相性は良くない。ガレットの食感も含め、全体として完成度は低く、今回の試作は失敗と言わざるを得ない。

3.サンマのカボス丼

材料表

  • サンマのカボス丼(1人前)
  • サンマ3匹(約120g×3) 600円~
  • かぼす1個(約50g)50円~
  • 米 1合 70円~
  • 塩 小さじ1/2 0.3円
  • 酒 大さじ1  50円~
  • 下処理用
  • 水 1000ml
  • 下処理用 塩 30g3円~
  • 下処理用 酢 大さじ2 20円~

カボスご飯を作る

調理時間(10分~) 

待機時間(1時間~) 

①米1合を水で研ぎ、塩小さじ1/2、酒大さじ1を加え、カボス一個の絞り汁を茶こし等を使って種が入らない様に入れ、絞り切ったかぼすの皮も入れる。
②指定量の水を加えて炊飯器で炊飯する。

サンマの調理

調理時間(10分~) 

待機時間(10分~) 

①サンマを三等分に切り分け、味付け用に適量の塩をふるう。
②サンマを焼き網の上に乗せ、ガスコンロのグリルなり、オーブンレンジのトースターで焼き上げる。(今回はトースターで焼き上げましたが場合は10分~13分程で焼きあがりました)

かぼす丼の盛り付けから完成まで

調理時間(10分~) 

①炊きあがったカボスご飯から搾りかすを取り除き、器に半分ほど盛り、焼きあがったサンマを盛り付け、上からカボス汁を振りかける。
②さらに上からカボスご飯を敷き、お好みで刻みのりをまぶしてサンマを盛り付け、カボス果汁をかけ、カボスの皮を細かく刻んで中央に飾り付けて完成。

完成

何故かこんな画像しかありませんでした・・・

みりん大さじ2を加えたカボスご飯は甘味が強く、やや胃もたれするような重さを感じたため、レシピからはみりんを省いた。

サンマ自体は美味しいものの、カボスご飯との組み合わせによる相乗効果はあまり感じられない。サンマの香りや脂の旨味を味わうのであれば、塩焼きの方が優れている。決してまずくはないが、あえてこの調理法を選ぶ理由は見つからなかった。

4.サンマのトマトソース煮込み

材料表

  • サンマのトマトソース煮込み(2人前)
  • サンマ3匹(約120g×3) 600円~
  • カットトマト1パック(388g) 240円~
  • ピザ用ミックスチーズ (100g) 150円~
  • 玉ねぎ中(300g) 100円~
  • セロリ(100g) 150円~
  • 人参(100g) 100円~
  • オリーブオイル 30㎖(焼き油) 46円~
  • ニンニク1片 30円~
  • 塩 適量
  • 下処理用
  • 塩 30g 3円~
  • 水 1000ml

サンマの調理

調理時間(5分~) 

待機時間(15分~) 

①グリルパンに焼き網を敷き、軽く塩を振ったサンマを、あらかじめ200度に温めて置いたオーブンの中に入れ15分間入れて火を入れる。
②使用時まで待機。

香味野菜を炒める

調理時間(30分~) 

待機時間(60分~) 

①玉ねぎ、にんじん、セロリ指定量をみじん切りにする。
②みじん切りにした野菜をジップ袋に入れて1時間ほど冷凍する。
③フライパンに焼き油大さじ1をしき、スライスしたニンニク一かけを入れて弱火で香りを絶たせながら炒める。
④ニンニクが色づいたら、凍った香味野菜を入れて中火にして炒める。20分程炒めて全体的に馴染んだところで次の工程へ。

トマトソースの調理から完成まで

調理時間(30分~) 

①炒めた香味野菜に、カットトマトを入れ、水分を半分ほど飛ばし、とろみが付くまで煮こむ。
②ピザ用チーズを加えて馴染ませる。
③火を入れたサンマの身を加えて軽く混ぜ合わせて完成。

完成

トマトソースの酸味とチーズの濃厚な旨味、そして香味野菜のコクが調和した料理としては美味しい。

しかしサンマは完全に脇役である。いや、脇役ですらないかもしれない。トマトソースの存在感が強すぎて、サンマ特有の脂の香りや旨味はほとんど感じられなかった。

その結果、「サンマのトマト煮込み」ではなく、「たまたまサンマが入っていたトマト煮込み」が出来上がってしまった。

5.サンマの柑橘締め

材料表

  • サンマの柑橘じめ(3人前)
  • サンマ3匹(約120g×3) 600円~
  • スダチ 2個 300円~
  • 下処理用
  • 塩 30g 3円~
  • 酢 大さじ2 20円~

完成まで

調理時間(15分~) 

待機時間(2時間~) 

①サンマの身に下処理用の塩をまぶし、1時間ほど脱水し、下処理用の酢で洗い流す。
②トレーにキッチンペーパーを敷き柑橘類(ゆず)を絞って果汁をしみ込ませ、サンマの身を包んで1時間~冷蔵する。

③キッチンペーパーでよく水けをふき取り、サンマの身の頭側の背側の片口から皮を向いていく。
④尾を手前にして、斜め45度に配置し、削ぎ切りして器に盛り付けて完成。

完成

塩で軽く脱水しているためか、食感は適度な歯ごたえがあり悪くない。柑橘の香りも感じられるが、全体としてはサンマ特有の風味の方が強く主張してくる印象だった。

サンマ特有の脂質感は幾分抑えられ、そのぶん旨味が際立つように感じる。しかし、青魚らしい香りまでは消し切れず、食後には独特の風味が鼻に抜ける。

なお、サンマの生食にはアニサキスなどの寄生虫によるリスクが伴う。筆者は生で食べたが、再現する際は厚生労働省等の公的機関が示す条件で冷凍処理したものを使用していただきたい。

コラム:ワタまで美味いサンマは本当に存在した

今から20年ほど前のことだ。

私は長い間、サンマのワタを美味しいとは思っていなかった。よく言われる「サンマで一番美味いのはワタ」という言葉も、酒飲み特有の嗜好だと思っていた。

そんなある日、知人の伝手で暖簾を出さない予約制の居酒屋を訪れる機会があった。

日替わりメニューの中に「サンマ塩焼き 700円」とある。

当時、生サンマは1尾100円前後で売られていた時代である。

「サンマの塩焼きに700円とは随分強気だな」

そう思いながらも、その店は普通の飲食店では扱えないような食材を仕入れることで知られており、興味本位で注文してみた。

運ばれてきたサンマを一口食べて驚いた。

ワタが美味いのである。

脂がしっかりと乗り、甘味と旨味がある。その後からほのかな苦味が追いかけてきて、味に奥行きを与えていた。

私が知っているサンマのワタは、苦い、臭い、えぐいという印象しかなかった。しかし、そのサンマはまるで別物だった。

身も美味しかったはずだが、正直なところ記憶にない。それほどワタの衝撃が大きかったのである。

気が付けば残ったのは頭と骨と尾だけ。あれほど綺麗にサンマを食べたのは、後にも先にもその一度だけだ。

以来、「サンマで一番美味いのはワタ」という言葉を単なる酒飲みの好みだとは思わなくなった。

今思えば、あのサンマは一般流通品とは別格の個体だったのだろう。

かつてはサンマの回遊ルートが日本沿岸に近く、漁獲量も現在より豊富だったと言われている。また、鮮度の良い大型個体ほど内臓にも脂が乗り、ワタの評価は大きく変わる。

さらに、目利きの優れた料理人が特別な仕入れ先から選び抜いた魚であった可能性も高い。

もし昔の人たちが、そのようなサンマを今よりずっと身近に食べていたのだとしたら、「サンマはワタが美味い」という言葉にも納得がいく。

現在スーパーで手軽に買えるサンマを食べる限り、私は今でも身の方が好きだ。しかし、人生で一度だけ食べたあの一尾を思い出すたびに、「サンマのワタは美味い」という言葉は決して誇張ではなかったのだろうと思う。

ごちそうさまでした

終章
サンマで様々な料理を試し、その可能性を探ってみた。しかし最後にたどり着いた結論は、案外当たり前のものだった。サンマは塩焼きが美味い。それ以上でも、それ以下でもない。色々と回り道をしたからこそ、そのシンプルな事実を改めて実感したのである。