
鮮魚店で見かけたイサキ。活〆されており、「刺身可」の表示もある。
25cmほどの小ぶりな個体ではあるが、体格は良く状態も良さそうだ。
さて、6月には散々イサキを捌いては食べていたが、10月中旬のイサキはどうだろうか。
ネットでは「脂の乗りは控えめだが、イサキらしい美味しさは健在」といった評価をよく見かける。しかし、本当にそうなのかは自分の舌で確かめてみたい。
そこで今回は3匹購入し、漬け丼と塩焼きで、6月のイサキと食べ比べてみることにした。
| おススメ度 | ★★★☆☆ |
| 備考 | 身質は良いが風味、脂の乗りは控えめ |
| 材料費(1人分) | 850円~ |
| 調理時間 | 60分~ |
| 待機時間 | 2時間35分~ |
材料表
- イサキの漬け丼 (1人分)
- イサキ2匹(200g×2匹) 700円~
- 酢飯用
- ご飯1合 30円~
- 塩 小さじ1 0.5円~
- 砂糖 小さじ2 3円~
- 米酢 25ml 20円~
- イサキ立て塩(塩水処理)用
- 水 1000ml
- 塩 約30g 3円~
- 蒸し用
- 水 300ml(参考)
- 漬け汁
- 酒 大さじ3 15円~
- 醤油 大さじ3 25円~
- みりん 大さじ3 25円~
- 昆布 10㎝ 50円~
目次 非表示
調理時間(20分)
①イサキを軽く水洗いし、鱗取りで鱗を取る。
②氷水で冷やしながら捌いていく。
③不慣れな方は、捌くに邪魔な、背びれ、胸鰭、腹びれをキッチンバサミで切り落とす。
④水気をキッチンペーパーで拭きとり、背中から腹まで胸鰭を斜めに避けながら浅く包丁を入れ、(内臓を傷つけないように)背骨を断ち切る。

⑤身を裏返し反対側にも同様に包丁を入れる。
⑥頭と胴体をゆっくりと外していく。(頭が取れにくい場合は腹側に包丁を入れる)
⑦胴体部分は肛門から逆包丁で切り開き、残った内臓、腹膜を取り除く.

⑧切開いた腹を水で洗いながら血合いをかきだし洗浄する。
⑨キッチンペーパーで水けをよくふき取る。

⑩頭側を右に、腹側を手前にし、包丁で片身を骨から背骨辺りまで切り離す。
⑪尾に切れ目を入れ、背側も同様に片身を骨から背骨付近まで切り、片身と本体を完全に切り離す。
⑫反対側も同様に切る。
⑬おろした身は逆さ包丁をで血合い骨と腹骨の間に入れて外し、腹骨を包丁ですくいとる。血合い骨は、手で位置を確認しながら骨の出ている方向に向けて骨抜きで引き抜く。

⑭おろしたイサキの身を3%食塩水で軽く洗い水気をキッチンペーパーで拭きとる。
⑮イサキの皮に鹿の子包丁を入れ、鍋に水を入れ蒸し器をセットし、中火にかけて沸騰させたらクッキングシートを敷いてその上に皮を下にしたイサキを入れる。
⑯イサキの身の縁が白くなり出したらクッキングシートごと取り出し、氷、または保冷材で余熱を取る。

今回購入した3匹のイサキのうち、1匹が未成熟卵を抱えていた。

イサキの産卵期は一般に5~8月、盛期は6月頃とされている。10月中旬にもなって未成熟卵を抱えていたため、最初は少し不思議に感じた。
調べてみると、イサキは産卵を終えた後も卵巣が完全に空になるわけではなく、翌年の産卵に向けた卵母細胞が残っていることがあるようだ。今回見つけた未成熟卵も、そのような来年の繁殖に備えた初期段階の卵であった可能性が高い。
また、魚の成熟度には個体差があり、同じ時期に獲れた魚でも生殖腺の状態は必ずしも一致しない。今回も3匹のうち1匹だけが卵を抱えていたことから、個体差による影響も考えられる。
興味深いのは、今年の産卵が終わっているにもかかわらず、すでに次の産卵に向けた準備が始まっていることである。
人間の感覚では「産卵が終わったばかりなのにもう次の準備?」と思ってしまうが、魚にとっては来年の繁殖に向けた一年がすでに始まっているのかもしれない。
そう考えると、今回見つけた小さな未成熟卵も、単なる珍事ではなく、イサキの生命サイクルの一端を垣間見た瞬間だったように思う。
調理時間(10分)
待機時間(60分)
①鍋に酒、みりんを大さじ3を入れひと煮立ちさせてアルコール分を飛ばす。
②火を止め。表面を水を含ませた布巾、キッチンペーパーで拭いた昆布にキッチンバサミで切れ目を入れて鍋に入れる。
③30分後、予熱が取れ、人肌レベルにまで温度が落ちたら、醤油大さじ3を指定量入れ養生する。
④30分後、味がなじみ完成。

調理時間(5分)
待機時間(60分)
①余熱を取ったイサキを用意し、トレーの上にキッチンペーパーを敷き、その上にイサキの身を置き、キッチンペーパーを敷き、漬けダレをこんぶごと回しかけラップをして1時間ほど冷蔵庫で養生。

調理時間(10分)
待機時間(10分~)
①水を少し少なめにし、通常炊飯したご飯を水を吸わせた桶にもしくは、大きめのボールやバットやフライパンに広げて余分な水蒸気を逃がす。
②塩・砂糖・米酢を指定量混ぜ合わせ、ご飯にまんべんなく振りかける。
③しゃもじで切るように混ぜ合わせる。
④うちわで風を当てて、常温まで冷やす。
⑤濡らしたキッチンペーパーを被せ、10分ほどなじませてから使う。

調理時間(10分)
①昆布を取り除き、イサキを取り出し、身は削ぎ切りにし、どんぶりに盛った酢飯の上に盛り付ける。
②盛り付けた上に漬けダレをお好みの量かけ、中心に卵の黄身を添えれば完成です。

完成

脂は少なく、イサキ特有の磯の風味も主張は控えめ。
醤油ダレとのなじみは良く、刺身のまま食べても十分美味しく感じられた。
個体が25cmほどと小型だったためか、皮もそれほど硬くなく食べやすい。
ただし、6月のイサキには当たり外れこそあるものの、過去に100点級の個体を食べた経験と比較すると、今回は65~70点程度というのが正直な感想である。
一方で、購入した3匹はいずれも同じような傾向を示しており、味のばらつきは少ないように感じた。
調理時間(5分)
待機時間(30分)
①イサキの頭内蔵を落とし、ドレスの状態にする。
※すぐに食べなくともこの作業は早くやった方が良い。臭いが周って食べられなくなります。
②食べやすさを考慮して、背びれ、腹びれ、血合い骨上に包丁で切り込みを入れ、塩を適量全体に振るう。
③グリルパンに乗せて、オーブントースターで片面15分づつ焼いて出来上がり。

完成

焼いている時の独特な川魚のような香りも弱く、まず意外だった。
食べてみてもその印象は変わらない。身は思いのほかしっとりとして身質が良く、パサつきは感じない。しかし、皮目の風味は控えめで脂も少なく、6月のイサキで感じたような濃厚な旨味の余韻はあまり見られなかった。
全体としては、淡泊で食べやすい白身魚という印象である。
一般に魚は産卵によって身質を落とし、産卵後に回復した頃が美味しいとされる。しかし魚によって事情は異なるようだ。
アカアマダイのように産卵期に著しく味を落とす魚もいれば、タチウオのように変化の少ない魚もいる。
そしてイサキはさらに特殊で、産卵期であるにもかかわらず最も評価が高い。
秋のイサキは身質こそ良かったが、皮目の風味や旨味の余韻は6月の個体に及ばなかった。どうやらイサキは「産卵後に完成する魚」ではなく、「産卵期前後に完成する魚」なのかもしれない。

