
イサキの白子狙いで余った身の方は最初は湯霜で刺身で食べていたのですがだんだん飽きてきて、塩焼きで食べる様になりました。しかしこの魚、血合い骨は強いは、身から腹骨が剥がせなかったり、かなり難儀しました。
元々魚を食べる事が苦手な私は、小学生の時にサンマの腹骨が、5年前にカサゴの腹骨が喉に刺さってしまい、二、三日苦しんだ記憶があります。さてこのイサキ、その骨の固さ、鋭さは恐れられています。そしてついたあだ名が「鍛冶屋殺し」
なんだか、物騒な異名ですね。さて、そんな逸話の語源や歴史を調べてみました。
起源:和歌山県の漁村伝承が最も有力
イサキは紀伊半島(和歌山・三重)で古くから重要な漁獲物で、 江戸中期〜後期には
熊野灘の漁場
紀州藩の海産物流通
包丁鍛冶の産地 が重なっていた。
この地理的背景から、 「鍛冶屋殺し」という異名は和歌山県の漁村で生まれた という説が最も自然で、民俗学的にも整合性が高い。
そして、語源は諸説あるが下記が挙げられる。
① 包丁が欠ける → 鍛冶屋が泣く説(料理人に最も知られる)
②鍛冶屋がイサキの骨を誤飲して亡くなった説(俗説では最も知られる)
なるほど、諸説あるようですが、どちらもあり得そうですね。今回は、鍛冶屋がイサキの骨を誤飲して亡くなった説をまじめに受け止めて、再発防止策を講じたいと思います。なんだか、業務報告書を描いているみたいで嫌ですが、やり遂げます。
イサキの骨は、太くて鋭く、一番小さい血合い骨ですら誤飲したくはない。
そんな骨を簡単に取り除き、ストレスフリーで塩焼きを食べる事が出来るならどんないいいだろうに。そう思って、「鍛冶屋殺し」を「殺し」てみることにしました。
※ 鮮魚店で「ドレスにして下さい」と注文すれば尾は落としませんが凡そこの形まで下処理してくれます。
調理時間(15分)
①イサキを水洗いし、鱗を取り除く。
②頭を起点に腹びれを中間にして斜に切り込みを入れ、内臓を傷めない様に刃を逆にし切り開く。
③-1頭部をサバ折りで落とし、肛門に歯を入れ刃を逆にし切り開き、内臓を掻き捨て、血ワタを切りつけて流水洗い落とす。

③-2頭部をサバ折りで落とし、肛門に歯を入れ刃を逆にし切り開き、内臓を掻き捨て、血ワタを切りつけて流水洗い落とし、水気をキッチンペーパーで拭きとる。

調理時間(10分)
④首周りの切断か所をキッチンバサミ等で整え、砂ずり部分と尾を切り落とす。

⑤背を起点として両脇を切り開き、背びれの両脇を包丁で1㎝程度切り込む
⑥同様に腹側も腹びれを起点とし、包丁で切り込みを入れる。

⑦断面から背骨を目印にして背骨両脇に包丁で背骨に触れるまで切り込みを各側面に入れる。

調理時間(10分)
待機時間(60分~)
①10%食塩水に30分漬けこみ、ピチットシートに包み、その上からラップ(密着性能が高い塩ビ製が良い)で60分程包む。(あるいは冷蔵庫にラップをかけずに冷風にあてて乾かす、日陰に干して一夜干しにするなどして水分を抜く。

②トースターの中にグリルを入れを3分予熱し、クッキングシートを敷いて魚を乗せ、片面20分、裏返して20分焼く。

完成

実食

1,背びれ・たんき骨


背びれ・たんき骨は皮が裂きにくいがなんとか取り除けました。
2,血合い骨、腹骨


血合い骨、腹骨も取り除けますが肉もかなり削いでもったいない。因みに血合い骨は魚の大きさにもよりますがイサキなら、頭側から肛門までの間に7本くらい入っています。
3,腹びれ・たんき骨


腹びれ・たんき骨を難なく取り除けましたが、半身を食べ終えたところから難易度が上がります。いくら血合い骨周りに切れ目を入れてもそれは外側から。内側から食べている状態では意味はない。結局腹骨含めて結構身を付けて状態で骨を避けて完食しました。
納得がいかないので食べ方を変えてみる
ここまでやってみて、これだ!という感触がまるでない。多分箸の扱いが美味い方なら、こんな切れ目なんか不要で、私より器用に食べれると思う。そもそも、箸の機能は12あると言われ、全てを扱いこなせない私の取ってどう切れ目を入れようが骨がある限り綺麗には食べれないと思うし。何なら意識調査で焼き魚をマナーに乗っ取って食べられる人は1~2割程度にとどまり、多くの人は多分私と同レベルではないでしょか?
ここで、ふと思ったのです、だったら箸じゃなければいいではないか?そうだ、ナイフとフォークで食べたらどうだろうか?(←和食じゃなくなっている)

おお、これは凄い、フォークで押さえてナイフで切り分け、身をほぐして骨と身を分けて無駄なく食べられる。いままで、手こずっていた血合い骨が嘘の様です。

腹びれ・たんき骨は難なく除去できるも、やはり腹骨は難しい。ただ箸に比べれば遥かに食べやすい。

下身の腹骨はやはり身と骨を分けるのが難しい。血合い骨は位置を知っているのなら目視確認で取り除くことは難しくはない。完食して思った事は、箸とナイフとフォークではここまで食べやすさに差が付くというのに、そして今や日本人の半数以上が箸で焼き魚を食べるのに苦手意識があるというの言うのになぜ昔ながらの伝統的な食べ方にこだわるのでしょうか?
AIに聞いてみました。
焼き魚を尾頭付きで箸で食べる文化は、合理性よりも「歴史的・文化的背景」に強く支えられている。
① 尾頭付きは本来“儀礼食”が起源
神に捧げる供物として、魚を丸ごと焼く形式が生まれた。
その名残が家庭料理に残り、食べやすさより「形の意味」が優先されている。
② 箸は骨付き魚に向かない道具
切れず、こそげず、皮を裂けず、骨を避ける構造でもない。
構造的に不向きなのに、文化的理由で使われ続けている。
③ 半数以上が“焼き魚を箸で食べるのが苦手”
裏返しで崩れる、骨が避けにくい、誤飲リスクがあるなど、難易度は高い。
それでも伝統的な食べ方が「正しい」とされるため、変化しにくい。
④ 技術継承が家庭に依存しており、現代では断絶
魚を食べる頻度が減り、焼き魚の食べ方を学ぶ機会が少ない。
苦手な人が増えても、文化はそのまま残っている。
⑤ ナイフ&フォークは構造的に合理的
骨を避けやすく、皮を切りやすく、身崩れも防げる。
焼き魚の構造と最も相性が良いが、和食の“形式”が優先されている。
まとめ
焼き魚を箸で食べる文化は、
「儀礼の名残 × 箸文化 × 同調圧力 × 技術継承の断絶」
によって維持されている。
食べやすさや合理性ではなく、
“文化的形式”が優先されているため、半数以上が苦手でも変わらない。
ナイフ&フォークの方が構造的には正しいが、
和食の伝統的形式が強く残っているため、広まりにくい。
骨を取りやすくするために各所に、切れ目を入れ、余分な尾を落とし、焼き崩れない様に10%食塩水に漬けて、ピッチとシートで脱水して簡易一夜干しにしてみたが、焼き付き防止にはなったものの、皮が妙に粘り強く伸び箸で切れない。身もなんだかパサついていて美味しくはない。本来このまま、一夜干しとして食べて美味しいはずなのだが、身質が合わなかったのかもしれないし、
仕方なく、ナイフとフォークで食べたら思いのほか解体しやすく、きれいに食べられた。身を押さえてナイフで切れば、あの腹骨から身を引きはがすこともできて便利だ。しかし、これが日本の魚の塩焼きの食べ方ではないのは言うまでもないのある。
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